5W1H×感染対策 6つの要素で対策の肝をつかもう! ●5W1H で感染対策の本質がズバリわかる! 著 者:矢野邦夫(浜松医療センター 副院長・感染症内科長・衛生管理室長) |
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目次
Prologue
感染防止は5W1H で対策の肝をつかもう!
Part 1 5W1H×感染対策の基本
①5W1H ×標準予防策
②5W1H ×接触予防策
③5W1H ×飛沫予防策
④5W1H ×空気予防策
⑤5W1H ×手指衛生
⑥5W1H ×個人防護具
⑦5W1H ×咳エチケット
⑧5W1H ×滅菌・消毒・洗浄
⑨5W1H ×環境清掃
Part 2 5W1H×病原体別感染対策
①5W1H ×多剤耐性菌対策
②5W1H ×CDI患者ケア
③5W1H ×インフルエンザ対策
④5W1H ×ノロウイルス患者ケア
⑤5W1H ×麻疹・水痘・風疹・ムンプス対策
⑥5W1H ×帯状疱疹対策
⑦5W1H ×結核患者ケア
⑧5W1H ×疥癬患者管理
⑨5W1H ×百日咳対策
⑩5W1H ×流行性角結膜炎対策
Part 3 5W1H×医療行為別感染対策
①5W1H ×尿道留置カテーテル管理
②5W1H ×血管内カテーテル管理
③5W1H ×マキシマル・バリアプリコーション
④5W1H ×SSI予防策
⑤5W1H ×透析室の感染対策
Part 4 5W1H×職業感染対策
①5W1H ×針刺し・切創対策
②5W1H ×HBVワクチン
内容見本
はじめに
2002年11月に中国広東省で発生し,世界32ヵ国に広がったSARS(重症急性呼吸器症候群)を台湾で日本のマスコミが取材していた時の光景です。彼らはN95マスクを着けて,マイクを持ち,小走りでレポートしていました。ただし,N95マスクは呼吸を楽にするために下のバンドを外したままで…。
SARSは空気感染するためN95マスクが必要なことは取材者も知っていたのでしょう。しかし,どう使うべきかを理解していなかったようで,N95マスクを顔面に着けていればよいという形式的な感染対策で取材に当たっている姿をテレビで観て,とても危うく感じたものです。
こうした場面は,病院でも散見されます。医師や看護師が「サージカルマスクから鼻を出して廊下を歩いている」「患者をケアした手袋を装着したまま,電子カルテのキーボードを叩いている」などなど。これは,個人防護具の本来の目的が理解されていない典型です。
形式的な感染対策で患者や医療従事者を感染症から守ることはできません。“やらされる”感染対策には何ら実効性はないのです。実効性のある感染対策,すなわち“意図を持って自ら進んで行う”感染対策が隙間なく実施されなくてはなりません。そのためには,対策を5W1Hで理解することが大変有効です。
本書では,「誰が?」「いつ?」「どこで?」「どんな理由で?」「何を?」「どのように?」の6つの要素から個々の感染対策を解説しました。5W1Hを理解して対策の肝をつかむことは,必ず効果的な感染対策の実施につながります。
本書が提示する視点が感染対策に携わるすべての方々に役立つものとなれば幸甚です。最後に今回の企画を提案いただいたリーダムハウスの多賀友次氏に謝意を表します。
2018年11月吉日
浜松医療センター 矢野邦夫