感染症・感染対策専門出版

リーダムハウスは,感染症・感染対策の領域で役立つ書籍を出版してまいります。

HOME

医療従事者のための 感染対策ルールブック 

CDCガイドラインをはじめ国内外の感染対策ガイドラインのエビデンスに基づいて厳選された現場重視の227のルールを新書サイズのポケットブックに!
 ●研修医さん,新人看護師さんにも必携の現場で使えるルール集
 ●感染対策の第一人者 矢野邦夫先生の渾身の1冊!

 著 者:矢野邦夫(浜松医療センター 副院長・感染症内科部長・衛生管理室長)
 定 価:本体2,700円+税
 判 型:新書判 216頁(2色刷り)
 発 行:2019年9月20日
 ISBN978-4-906844-18-0 C3047 ¥2700E


目次

Category 1 標準予防策
Rule 001   標準予防策の対象患者は, 感染者・非感染者を問わない。
Rule 002   標準予防策では, すべての患者に由来する湿性生体物質は感染源になりうるものとして取り扱う。
Rule 003   標準予防策の構成要素を知っておく。
Rule 004   標準予防策における個人防護具使用の判断は, ケアに伴う曝露リスクの予測に基づいて行う。
Rule 005   ウイルスによる季節性の呼吸器感染症の市中流行期は, 呼吸器分泌物を封じ込める対策として咳エチケットを実施する。
Rule 006   咳エチケットは, 咳, 充血, 鼻水, 呼吸器分泌物の増加といった症状のある人と家族, 同伴者が実施する。
Rule 007   咳エチケットは5つの対策を複合的に実施する。
Rule 008   咳エチケットではサージカルマスクの着用とともに手指衛生が重要となる。
Rule 009   喘息やアレルギー性鼻炎などの患者には感染性はないが, 咳エチケットは実施する。
Rule 010   無菌テクニックを用いて, 滅菌済み注射器具の汚染を防ぐ。
Rule 011   注射器や注射針を複数の患者に用いてはならない。
Rule 012   複数回量バイアルを用いる場合は十分な管理が必要である。
Rule 013   脊柱管や硬膜下腔にカテーテルを留置したり薬剤を注射するときにはサージカルマスクを着用する。
Rule 014   汚れた洗濯物は適切に取り扱う。

Category 2 感染経路別予防策
Rule 015   標準予防策だけでは感染経路を完全には遮断できない状況では感染経路別予防策を追加する。
Rule 016   感染経路別予防策は臨床症状または予測される病原体に基づいて実施する。
Rule 017   多剤耐性菌の保菌者は永久に保菌していると考えて対処する。
接触予防策
Rule 018   接触予防策では患者は個室隔離かコホーティングする。
Rule 019   接触予防策下にある病室に入る医療従事者は手袋とガウンを着用する。
Rule 020   接触予防策下の患者の病室外への移送は医学的に必要な目的に限定する。
Rule 021   接触予防策下の患者に用いる器具は使い捨てにするか患者専用にする。
Rule 022   接触予防策下の患者に用いた食器類を再使用する前の洗浄は一般的な方法で行えばよい。
Rule 023   接触予防策下の患者周辺の「手指の高頻度接触面」は頻回に洗浄・消毒する。
飛沫予防策
Rule 024   飛沫予防策では患者を個室隔離かコホーティングする。
Rule 025   飛沫予防策下にある病室に入る医療従事者はサージカルマスクを着用する。
Rule 026   飛沫予防策下の患者の病室外への移送は医学的に必要な目的に限定する。
Rule 027   飛沫予防策下の患者に用いる器具は使い捨てにするか患者専用にする。
Rule 028   飛沫予防策下の患者に用いた食器類を再使用する前の洗浄は一般的な方法で行えばよい。
Rule 029   飛沫予防策を要する外来患者は, 速やかに小部屋に収容する。
Rule 030   飛沫感染の最大距離は現在も解決されていない。
空気予防策
Rule 031   空気感染は3 つに分けて考える。
Rule 032   飛沫感染する病原体が, そのまま空気感染することはない。
Rule 033   空気予防策では空気の特別な取り扱いや換気が必要である。飛沫予防策では必要ない。
Rule 034   空気予防策が必要な患者は空気感染隔離室に入室させる。
Rule 035   空気感染隔離室では肉眼的指標により空気圧を毎日測定する。
Rule 036   空気予防策下の患者の病室外への移送は医学的に必要な目的に限定する。
Rule 037   空気予防策下の患者に用いる器具は使い捨てにするか患者専用にする。
Rule 038   空気予防策下の患者に用いた食器類を再使用する前の洗浄は一般的な方法で行えばよい。
Rule 039   空気予防策を要する感染が疑われる外来患者には, 速やかにトリアージを行い, サージカルマスクを着用させる。
Rule 040   面会者のスクリーニングをして, 感染源にならないようにする。

Category 3 個人防護具
Rule 041   個人防護具は標準予防策では血液・体液曝露が予測されるときに着用し, 感染経路別予防策では病室入室時に必ず着用する。
Rule 042   標準予防策においては患者ケアで血液・体液曝露が予測される場合は, 個人防護具を着用する。
Rule 043   標準予防策において患者ケアによる手への激しい汚染が想定される場合は手袋を着用する。
Rule 044   個人防護具は, 自分と周囲の環境を汚染しない方法で外す。
Rule 045   手袋は患者ケアごとに廃棄する。1 人の患者のケアでも必要に応じて交換する。
Rule 046   手袋を洗って再使用してはならない。
Rule 047   手袋を外したあとは手指衛生を行う。
Rule 048   N95 マスクを着用するのは医療従事者である。患者が着用することはない。
Rule 049   N95 マスクは使い捨てにするが, 結核患者のケアで用いた場合は再利用できる。
Rule 050   ケアにおいて患者由来の感染性物質による腕や衣服への汚染が予測される場合は, ガウンを着用する。
Rule 051   ケア中に患者の血液や体液などを浴びる恐れがある場合は,口, 鼻, 眼の防護を行う。
Rule 052   眼鏡をゴーグルやフェイスシールドの代替として使用してはならない。

Category 4 手指衛生
衛生的手洗い
Rule 053   手指が肉眼的に汚れていなければ「アルコール手指消毒」, 肉眼的に汚れていれば「石鹸と流水による手洗い」を行う。
Rule 054   アルコール手指消毒薬を使用する場合には十分量を用いる。
Rule 055   手指衛生はWHO の5 つのタイミングで実施する。
Rule 056   アルコール手指消毒薬は, 手指衛生のアプローチがしやすい場所に設置する。
Rule 057 「 石鹸と流水による手洗い」は15秒以上行う。
Rule 058 「 アルコール手指消毒」と「石鹸と流水による手洗い」を連続してはならない。手荒れを引き起こすからである。
Rule 059   医療従事者の手荒れが増加してきたら, 石鹸と流水による手洗いを中止し,保湿剤を含んだアルコール手指消毒薬を使用する。
Rule 060   長い爪, つけ爪, マニュキュアは手指衛生の効果を減弱させる。
手術時手洗い
Rule 061   手術時手洗いは最初に石鹸と流水で手指の汚れを落としたのち, 持続活性のあるアルコール手指消毒薬を用いる。
Rule 062   手術時の手指消毒におけるスクラブは長時間行う必要はない。
Rule 063   手術が連続するとき, 手術間ではアルコール手指消毒薬による手指消毒のみでよく, 石鹸と流水による手洗いは必要ない。

Category 5 環境整備
Rule 064   医療従事者や患者が環境表面から直接感染することはほとんどないが, 環境表面に付着した病原体は手を介してヒトに伝播する。
Rule 065   環境表面は手指の「高頻度接触面」と「低頻度接触面」の2 つに分類され, 前者では頻回に洗浄する。
Rule 066 「 環境表面」はノンクリティカルに分類される。
Rule 067   床の清掃は洗浄剤による一般的な洗浄法で行う。
Rule 068   洗浄で使うバケツや洗浄液の細菌汚染に注意する。
Rule 069   モップや雑巾が微生物汚染を受けないために洗浄液は消毒薬を含んだものを用いる。
Rule 070   床などに付着した大量の血液や体液を除去する場合,最初にその有機物を十分に取り除くことが大切である。
Rule 071   環境表面の拭き掃除による病原体や土埃の物理的な除去は薬剤の殺菌効果よりも重要である。
Rule 072   アルコールによる環境表面の清拭は, 小器具の表面など狭い面積に限定する。
Rule 073   感染対策として環境表面の日常的な培養を行う必要はない。
Rule 074   医療機関での小児用玩具は適切に衛生管理する。
Rule 075   易感染性の患者がいる区域ではカーペットの使用を避ける。
Rule 076   造血幹細胞移植患者の病室の生花, 鉢植え植物は推奨されない。
Rule 077   同種造血幹細胞移植患者はアスペルギルス対策として防護環境に入室させる。
Rule 078   造血幹細胞移植患者でのアスペルギルス症の発症数のサーベイランスは必要である。
Rule 079   病院の建築や改修工事の期間は造血幹細胞移植患者のためのアスペルギルス対策を強化する。
Rule 080   1 人の透析患者に使用された物品をそのまま他の透析患者のベッドやその周辺区域に持ち込んではならない。
Rule 081   透析室の環境表面はHBV の感染経路になりうる。
Rule 082   透析室の血液汚染に対しては適切な消毒薬による環境消毒が必要である。
Rule 083   透析室ではHBs 抗原(+)患者とHBV に感受性のある患者のベッドを隣り合わせにしない。
Rule 084   クロイツフェルト‐ヤーコプ病の患者の病室の清掃は日常的な方法で十分である。
Rule 085   血液はプリオンの伝播の原因とはならないので,血液が環境表面に付着した場合も日常的な処置で十分である。

Category 6 医療関連感染
血管内カテーテル
Rule 086   カテーテル由来血流感染と中心ライン関連血流感染を混同しない。
Rule 087   感染管理上, 中心静脈カテーテルの挿入部位は鎖骨下静脈が望ましい。
Rule 088   中心静脈カテーテルの留置には超音波ガイドを使用する。
Rule 089   中心静脈カテーテルの挿入またはガイドワイヤー交換の際には, マキシマル・バリアプリコーションを実施する。
Rule 090   中心静脈カテーテルの挿入時とドレッシング交換時には> 0.5% クロルヘキシジン含有アルコール製剤で皮膚消毒する。
Rule 091   末梢静脈カテーテルの挿入時は非滅菌手袋を着用する。動脈カテーテルや中心静脈カテーテルの挿入の際には滅菌手袋を着用する。
Rule 092   カテーテル部位を覆う際は, ガーゼか透明ドレッシングのいずれかを使用する。
Rule 093   血管内カテーテルの固定には無縫合固定器具を使用する。
Rule 094   輸液セットは, 72 ~ 96 時間ごとよりも頻回にならないように交換するが, 少なくとも7 日ごとには交換する必要がある。
Rule 095   中心静脈カテーテルの感染対策は2 段階(基本手技+ 特別アプローチ)で実施する。
Rule 096   カンジダ血症の患者の中心静脈カテーテルの抜去については,好中球減少のない患者では抜去する。好中球減少のある患者では必ずしも抜去することはなく, 個々の状況で判断する。
尿道留置カテーテル
Rule 097   カテーテルの尿道留置には尿路感染を起こすリスクがある。
Rule 098   尿道留置カテーテルの適正使用について熟知する。
Rule 099   急性期病院では無菌操作と無菌器材で尿道留置カテーテルを挿入する。非急性期施設では, 間歇導尿の清潔手技は許容される。
Rule 100   尿道留置カテーテルは最小径のカテーテルを使用し, 挿入後は適切に固定する。
Rule 101   特定の患者では, 尿道留置カテーテルよりも間歇導尿法のほうが望ましい。
Rule 102   閉鎖式導尿システムを使用する場合には膀胱洗浄以外は接合部を引き離さない。
Rule 103   尿道留置カテーテルや採尿バッグは定期的に交換しない。
Rule 104   採尿バッグは汚染しないように適切に取り扱う。
Rule 105   尿道留置カテーテルの抜去前にカテーテルをクランプする必要はない。
Rule 106   尿路感染を予防する目的で尿道周囲を消毒することはしない。
Rule 107   尿道留置カテーテルの挿入患者にカンジダ尿がみられても, 症状がなければ保菌であるためカテーテルを抜去するだけでよい。
Rule 108   尿道留置カテーテルの挿入患者にカンジダ尿がみられ, 症状があれば尿路感染の可能性があるので,
カテーテルを抜去する。
人工呼吸器
Rule 109   呼吸器回路は使用期間を根拠としたルチーンな交換はしない。肉眼的に汚れがあるか機械的に不調な場合に交換すればよい。
Rule 110   呼吸器回路の結露は, 気管・気管支に流れ込まないように定期的に捨てる。結露の取り扱い時は手袋を着用する。
Rule 111   声門下域に溜まった気管支分泌物をドレナージするときは背面ルーメンを付属した気管チューブを用いる。
Rule 112   気管内挿管の必要性と期間を減らすために非侵襲的陽圧換気療法を積極的に用いる。
Rule 113   ネブライザーは細菌汚染しないように管理する。毎日, 滅菌または高水準消毒を実施し, 滅菌水のみを使用する。
手術
Rule 114   手術部位感染は感染の深達度によって3つに分類される。
Rule 115   予防抗菌薬は皮膚切開時に血中および組織内で確実に殺菌濃度に達するタイミングで投与する。
Rule 116   手術前の予防抗菌薬は切開前の1 時間以内に開始する。
Rule 117   閉創後は予防抗菌薬の投与はしない。
Rule 118   手術室では人の動きを制限する。
Rule 119   周術期は糖尿病の有無にかかわらず, 血糖値を200mg/dL 未満にする。
Rule 120   患者は手術前日には石鹸または消毒薬を用いたシャワーや入浴をする。
Rule 121   手術前の皮膚はアルコールベースの消毒薬にて消毒する。
Rule 122   手術前のアルコール消毒薬による皮膚消毒では引火に注意する。
Rule 123   手術中および手術直後はFIO2 を増加させる。
Rule 124   手術部位感染の予防のためにヨウ素系消毒薬にて深部もしくは皮下組織を手術中に潅流する。
Rule 125   手術部位感染の予防にトリクロサンコーティング縫合糸を使用する。
透析
Rule 126   バスキュラーアクセスへの穿刺では, 手指衛生と個人防護具の着用を徹底する。
Rule 127   バスキュラーアクセスへの皮膚消毒には有効性のある適切な消毒薬を使用する。
サーベイランス
Rule 128   医療関連感染の発生率を監視し, 感染率を把握しておく。
Rule 129   感染症のサーベイランスには疫学的原則を適用する。
Rule 130   疫学的に重要な病原体の発生率と有病率の地域的傾向に関する情報を収集し, 定期的に検討する。

Category 7 消毒・滅菌
Rule 131   消毒薬に対する微生物の耐性機構は様々である。
Rule 132   滅菌・消毒・洗浄について理解する。
Rule 133   消毒や滅菌の前には徹底的な洗浄が必要である。
Rule 134   消毒薬では濃度, 温度, pH, 湿度, 水の硬度を適切にする。
Rule 135   器具, 器材を消毒する際は, 消毒薬と器具, 器材の十分な接触時間が必要である。
Rule 136   消毒薬の使用による耐性菌の発現を心配する必要はない。
Rule 137   患者に使用する医療器具等は, クリティカル, セミクリティカル,ノンクリティカルに分類される。
Rule 138   クリティカル器具やセミクリティカル器具は中央材料室に搬送して処理し,ノンクリティカル器具は使用した現場で除染する。
Rule 139   クリティカル器具, セミクリティカル器具の高水準消毒や滅菌の前には洗浄が必須である。
Rule 140   内視鏡は十分な洗浄後に高水準消毒する。その後は再汚染しないように保管する。
Rule 141   室内便器や携帯情報機器などのノンクリティカル器具は洗浄・消毒する。
Rule 142   在宅医療では病院ほどの感染の危険性は少ないため, 在宅医療で用いる医療器具を病院と同レベルに処理する必要はない。

Category 8 病原体
インフルエンザウイルス
Rule 143   インフルエンザウイルスは飛沫感染により伝播する。
Rule 144   インフルエンザワクチンは10 月末までに接種するのが望ましい。
Rule 145   インフルエンザワクチンは卵アレルギーを持つ人にも接種可能である。
Rule 146   インフルエンザに罹患した医療従事者は解熱剤を使用しない状況で, 解熱後24 時間以上経過すれば勤務に復帰してもよい。
Rule 147   エアロゾルを産生する処置はインフルエンザウイルスを拡散させないように行う。
麻疹ウイルス
Rule 148   麻疹は発熱や眼の充血などに始まった後, 顔面および上部頸部に発疹がみられ, 約3 日の経過で手や足にまで拡大する。
Rule 149   麻疹ウイルスは感染力が極めて強い。1 人が罹患すると, 免疫を持たない人が罹患者に接触すれば約90% の人々が感染する。
Rule 150   麻疹に罹患すると重篤な合併症がみられることがある。
Rule 151   麻疹の合併症に亜急性硬化性全脳炎がある。1 歳未満で感染すると合併する割合が高くなる。
風疹ウイルス
Rule 152   風疹は症状は軽度であることが多く, 最大50%の感染者が無症状である。
Rule 153   成人女性が風疹に罹患すると, 関節痛や関節炎がみられることが多い。
Rule 154   先天性風疹症候群の幼児は1 歳まで体液から大量のウイルスを排出する。
Rule 155   風疹ワクチンは生ワクチンであるため, 免疫が低下している人には接種しない。
Rule 156   妊婦および妊娠予定の女性には風疹ワクチンを接種しない。
Rule 157   風疹ワクチンを接種された人が他の人にウイルスを伝播させることはない。しかし, 授乳では感染することがある。
ワクチン
Rule 158   麻疹およびムンプスではワクチン2 回接種, 風疹は1 回接種の記録があれば, 抗体価が陰性であっても追加接種は必要ない。ただし, 妊娠可能な年齢の女性では風疹ワクチンは1 回追加接種する。
Rule 159   水痘については, ワクチンが2 回接種されていれば, 免疫のエビデンスがあると考えてよい。
ノロウイルス
Rule 160   ノロウイルス胃腸炎の患者には接触予防策にて対応する。
Rule 161   ノロウイルス対策ではトイレや手指の高頻度接触面を重点的に次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
Rule 162   ノロウイルス胃腸炎の患者の使用器具, リネン, プライバシーカーテンなどは適切に取り扱う。
Rule 163   ノロウイルス胃腸炎のアウトブレイク時は患者を病棟間で移動させない。
Rule 164   ノロウイルス胃腸炎に罹患した医療従事者は症状改善から48 時間以上経過するまで勤務しない。
結核菌
Rule 165   結核菌の感染経路は空気感染であるため, 肺結核,喉頭結核の患者のみが結核菌を伝播させる。
Rule 166   肺外結核のみの患者には感染性はない。
Rule 167   肺結核や喉頭結核の患者(疑いを含む)は空気感染隔離室に入室させる。
Rule 168   空気感染隔離室の室内気圧は陰圧にする。室内に入る医療従事者はN95 マスクを着用する。
Rule 169   フィットテストに合格したN95 マスクを必ず使用する。
Rule 170   空気感染隔離室に入室する前にN95 マスクを着用したら,シールチェックを実施する。
Rule 171   感染性結核は多剤化学療法によって感染性を失うが,多剤耐性結核では感染性が長期間維持されることがある。
Rule 172 「空洞がある」「塗抹が陽性である」「咳が多い」は,肺結核の感染性を高める要因である。
Rule 173 「肺結核」「喉頭結核」「胸膜結核」の患者が発生したら接触者調査を行う。
Rule 174   感染性結核の患者に曝露した人には単剤治療として「潜在性結核感染の治療」を実施する。
Rule 175   潜在性結核感染に対するイソニアジドの最大有益効果は9ヵ月までに得られ, 以降12 ヵ月までの延長による利益は少ない。
Rule 176   潜在性結核感染の治療の完了は, 治療期間ではなく, 薬剤投与の合計回数に基づく。
クロストリディオイデス・ディフィシル
Rule 177   CDI の便検査では下痢便を用いる。
Rule 178   CDI 対策としての手指衛生は, 通常はアルコール手指消毒を実施し, アウトブレイク発生時や症例数が多い状況で石鹸と流水による手洗いに切り替える。
Rule 179   CDI 対策としては接触予防策を実施する。
Rule 180   CDI 治療の第一選択薬としてメトロニダゾールを使用する。
疥癬虫
Rule 181   通常疥癬には標準予防策で対応し, 角化型疥癬には接触予防策を加える。
Rule 182   通常疥癬では日常的な清掃でよいが, 角化型疥癬では落屑が飛散しないように清掃する。
Rule 183   疥癬患者が用いたシーツ・寝具・衣類・布団については適切に処置する。
Rule 184   角化型疥癬の患者の入浴では特別な対応が必要である。
Rule 185   疥癬治療において, 通常疥癬ではフェノトリン塗布かイベルメクチン内服を, 角化型疥癬では両者を用いる。
Rule 186   疥癬患者と長期間の皮膚と皮膚の接触がある同居家族は治療を行う。
血液媒介病原体
Rule 187   医療従事者は針刺し防止に努めなければならない。
Rule 188   医療従事者はHBV ワクチンを接種して, HBs 抗体を獲得しておく。
Rule 189   HBV ワクチン接種予定者の接種前のHBs 抗体検査は不要である。
Rule 190   HBV ワクチンの第1 コースに反応しない医療従事者には第2 コースの接種を行う。
Rule 191   HBV ワクチンによってHBs 抗体を獲得した医療従事者にはHBs 抗体の定期検査は必要ない。
Rule 192   HBV ワクチンで獲得されたHBs 抗体は経年的に検出感度以下になってもブースター接種は必要ない。
Rule 193   血液透析患者は, HBs 抗体価が低下するとHBVへの抵抗力は維持されないため, HBV ワクチンのブースター接種を行う。
Rule 194   医療従事者がHBV に曝露した場合, HBV ワクチンの接種歴とHBs 抗体の有無によって対応が異なる。
Rule 195   HCV の針刺しが発生したら曝露後48 時間以内にHCV 抗体を測定し,3 週間以上が経過した時点でHCV RNA を検査する。
Rule 196   HIV の血液・体液曝露時は, 予防が必要と判断されたら,「FTC + TDF + RAL」の3 剤レジメを迅速に開始し,4 週間継続する。
Rule 197   第4 世代HIV 検査を用いる場合, フォローアップ期間は曝露後4 ヵ月で完了してもよい。

Category 9 多剤耐性菌
Rule 198   多剤耐性菌を理解する。
Rule 199   多剤耐性菌は医療従事者の手指を介して接触感染するが, 多剤耐性菌を保菌する医療従事者が曝露源になることはない。
Rule 200   脆弱な患者は複数の多剤耐性菌に感染しやすいため, 病原体や抗菌薬を一つに絞った感染対策は成功しない。
Rule 201  多剤耐性菌制御は2段階アプローチで行う。
Rule 202   第1 段階: 急性期病院では多剤耐性菌患者には接触予防策で対応し, 長期ケア施設では標準予防策を実施する。
Rule 203   第1 段階: 多剤耐性菌患者は個室に入室させ, 個室が利用できなければコホーティングする。
Rule 204   第1 段階: 多剤耐性菌抑制のために院内における抗菌薬の感受性パターンを把握しておく。
Rule 205   第1 段階: 多剤耐性菌の監視体制を院内で整備しておく。
Rule 206   第2 段階:ハイリスク集団を対象に積極的監視培養を実施する。
Rule 207   第2 段階: 多剤耐性菌患者すべてに接触予防策を実施する。
Rule 208   第2 段階: 標準予防策や接触予防策の遵守にもかかわらず,多剤耐性菌の伝播が続く場合は, 感染患者のケア担当者を専任とする。
Rule 209   第2 段階: 環境が多剤耐性菌の伝播継続に関与している疫学的根拠があれば, 環境培養を実施する。

Category 10 抗菌薬
Rule 210  抗菌薬適正使用支援の定義および利点を理解する。
Rule 211   CDC の「抗菌薬適正使用支援プログラム」の核心的要素には7 つの項目がある。
Rule 212   事前許可制と事後届出制(監査とフィードバックを伴う)が推奨される。
Rule 213   抗菌薬の投与を開始したら, 48 時間後に抗菌薬「タイムアウト」を実施する。
Rule 214   初期治療として, 注射用抗菌薬から経口抗菌薬に切り替えて使用することが推奨される。
Rule 215   ハイリスクのCDI を減らすために, 抗菌薬適正使用支援の介入が推奨される。
Rule 216   抗菌薬投与中の患者に下痢症状がみられたら速やかに投与を中止する。
Rule 217   急性咽頭炎の原因の大半はウイルスであり, 抗菌薬は必要ない。唯一の例外はA 群連鎖球菌による急性咽頭炎である。
Rule 218   A 群連鎖球菌の急性咽頭炎の診断にはCentor criteriaを使う。
Rule 219   A 群連鎖球菌による急性咽頭炎ではアモキシシリンによる10 日間の治療を行う。
Rule 220  急性気管支炎には抗菌薬を処方しない。
Rule 221   急性鼻副鼻腔炎の原因の90 ~ 98% はウイルス性であり, 抗菌薬は必要ない。
Rule 222   急性鼻副鼻腔炎に「重症」「症状が持続」「症状悪化」といった状況があれば細菌性を疑う。
Rule 223   急性細菌性鼻副鼻腔炎を治療する際の第一選択薬はアモキシシリンかアモキシシリン/ クラブラン酸である。
Rule 224   感染症が疑われる集中治療室の患者では, 抗菌薬の使用を減らすためにPCTの連続測定を実施する。
Rule 225   呼吸器分泌物からカンジダ属が検出されても通常は保菌を示唆しているため抗真菌薬による治療の必要性はほとんどない。
Rule 226   カンジダ血症が確認されたら, 眼内炎合併の有無の確認のために好中球減少のない患者では1 週間以内に,好中球減少のある患者では好中球数が回復してから, 眼科受診とする。
Rule 227   無症候性細菌尿は治療しない。ただし, 妊婦と泌尿器手術前の患者の無症候性細菌尿は治療する。

❖略語
❖感染症と予防策一覧
❖索引


内容見本


はじめに

 現在,日本では,学会などから公開されている数多くの感染対策ガイドラインを参考にしながら各病院ごとに独自のマニュアルが作成されています。これらの情報源として多くを占めるのがCDCガイドラインであると言えます。CDCが公開する数々のガイドラインは,エビデンスに基づいた極めて有用な内容であるからです。しかし,その情報量は余りにも膨大ですべてを読破することは現実的には困難です。
 そこで,この膨大な情報の中から実践で役立つ重要なメッセージを厳選し,感染対策の全体像と要点を把握できる実務的な本があれば,研修医や新人看護師のみなさんはもとより,現場で活動するすべての医療従事者の方々に有益なものになると考え,本書を執筆しました。
 本書では主要なCDCガイドラインやガイダンスを中心に「ルール+解説+文献」の形式でまとめています。ルールのみを読んでいただいても十分に役立つと思います。
 また,CDCガイドライン以外にWHOや米国外科学会など海外で公開されているものや,国内にも重要なガイドラインがありますから,それらの情報源からも日本の医療現場の実情にあわせて必要な感染対策を本書に盛り込んでいます。
 本書が,医療従事者の方々の座右の書として職場で活用されることを希望します。最後に,この企画を提示いただいた(株)リーダムハウスの多賀友次氏に謝意を表します。

2019年8月吉日

浜松医療センター 矢野邦夫