感染制御ポケペディア ●ポケットサイズのできる1冊! 監 修:森澤雄司(自治医科大学附属病院・感染制御部長) |
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CONTENTS
0 感染対策の基本ルール
1 感染・免疫
感染の基礎知識
免疫の基礎知識
2 標準予防策
標準予防策の位置づけ
標準予防策の基本コンセプト
標準予防策の構成要素
手指衛生
個人防護具
咳エチケット
患者収容
患者ケア用器具の処理
環境整備
リネンの取り扱い
安全な注射処置
腰椎穿刺処置時の感染防止
3 感染経路別予防策
概要
❑接触予防策
概要
患者収容
個人防護具
患者の移送
患者ケア用の機器,器具
環境対策
接触予防策の解除
❑飛沫予防策
概要
患者収容
個人防護具
患者の移送
飛沫予防策の解除
❑空気予防策
概要
患者収容
個人防護具
患者の移送
曝露後の対応
空気予防策の解除
4 手指衛生
手指の汚染
患者に付着している感染性の病原微生物
手指から手指への病原微生物の伝播
手指衛生製剤の特性
手指衛生とは
手洗いの種類
衛生的手洗い
手洗いの手順
手洗いが必要なとき
手指衛生の5つのタイミング(WHO)
手術時手洗い
手荒れ
手荒れ防止策
5 個人防護具
概要
標準予防策としての個人防護具の着用場面
個人防護具を着ける手順
個人防護具を外す手順
❑サージカルマスク
概要
サージカルマスクの性能指標
サージカルマスクを着用すべき状況
❑N95 レスピレータ
概要
フィットテスト
ユーザーシールチェック
N95 レスピレータを着用すべき状況
❑ゴーグル・フェイスシールド
概要
ゴーグル・フェイスシールドを着用すべき状況
❑ガウン・エプロン
概要
ガウンの規格と材質
ガウン・エプロンを着用すべき状況
特にガウン(エプロンでなく)を着用すべき状況
❑手袋
概要
医療で用いる手袋の種類
手袋を着用すべき状況
手袋を交換すべき状況
手袋の材質
手袋と皮膚障害
6 医療関連感染
概要
❑血管留置カテーテル関連血流感染(CRBSI)
概要
血管留置カテーテルの種類
血管留置カテーテル関連血流感染の防止策
手指衛生と無菌操作
マキシマルバリアプリコーション
血管留置カテーテルの交換について
ドレッシング材による管理について
❑尿路留置カテーテル関連感染(CAUTI)
概要
尿路カテーテルの留置と管理
尿路留置カテーテルの適用・非適用
尿路留置カテーテル関連感染の防止策
❑手術部位感染(SSI)
概要
手術部位感染の分類
手術創の清潔度の分類
手術部位感染の防止策
❑人工呼吸器関連肺炎(VAP)
概要
人工呼吸器関連肺炎の防止策
人工呼吸器関連気管気管支炎(VAT)
❑透析室での感染
概要
透析関連感染の防止策
7 洗浄・消毒・滅菌
概要
スポルディングの分類と再生処理
❑洗浄
概要
洗浄の種類
洗浄剤の種類
洗浄効果の判定
❑消毒
概要
加熱消毒
消毒薬による消毒
❑滅菌
概要
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)
酸化エチレンガス(EOG)滅菌
低温ホルマリン消毒
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌
滅菌の確認
滅菌後の医療器材の管理
8 環境清掃
概要
❑環境表面
ハウスキーピング表面
手指の高頻度接触表面の清掃
手指の低頻度接触表面の清掃
❑空気・空調
概要
レジオネラ対策
アスペルギルス対策
❑水まわり・給水設備
❑院内特殊環境の清掃
透析室
手術室
ICU
NICU
9 職業感染防止
概要
❑針刺し・切創
概要
針刺し・切創後の対応
針刺し・切創の防止策
血液・体液曝露対策
❑ワクチン接種
概要
生ワクチンと不活化ワクチン
健康管理
B型肝炎ワクチン
麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘ワクチン
インフルエンザワクチン
10 院内ラウンド
概要
❑環境整備チェック
病室
ナースステーション
救急カート
包交車
注射作業台
点滴作業台
薬品保冷庫
滅菌物の保管棚
汚物室
トイレ
リネン庫
手洗いシンク
洗浄用シンク
製氷機
浴室・シャワー室
❑コンプライアンスチェック
手指衛生
個人防護具
❑医療器材チェック
医療器材の管理体制
医療器材の処理
感染性廃棄物の処理
11 サーベイランス・疫学
概要
❑サーベイランス
概要
中心静脈ライン関連血流感染サーベイランス
尿路留置カテーテル関連感染サーベイランス
人工呼吸器関連肺炎サーベイランス
手術部位感染サーベイランス
❑感染症疫学
概要
感染症疫学における比率
感染症疫学における検査判定
感染症疫学における研究
交絡・交絡因子
マッチング
95% 信頼区間
12 アウトブレイク対応
アウトブレイクの定義
病院でアウトブレイクを起こしやすい感染
アウトブレイク対応の原則
アウトブレイク調査
13 病原微生物
概要
❑細菌
概要
細菌の毒素
細菌のかたち
細菌の構造
❑グラム陽性菌
グラム陽性球菌
グラム陽性桿菌
❑グラム陰性菌
グラム陰性球菌
グラム陰性桿菌
❑薬剤耐性菌
概要
薬剤耐性の分類
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
多剤耐性緑膿菌(MDRP)
基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBLs)産生菌
メタロβラクタマーゼ(MBL)産生菌
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
多剤耐性アシネトバクター(MDRA)
❑真菌
概要
Candida albicans
Aspergillus fumigatus
Cryptococcus neoformans
❑ウイルス
概要
発症部位別にみた主なウイルス
14 抗菌薬
概要
抗菌薬の臓器移行性
抗菌薬の副作用
最小発育阻止濃度(MIC)
薬剤感受性試験
抗菌薬と血中濃度
PK/PD
PAE
ブレイクポイント
TDM(治療的薬物モニタリング)
抗菌薬の作用点
抗菌薬療法
抗MRSA薬
コリスチン
抗菌薬適正使用の基本
❑系統別 抗菌薬
ペニシリン系抗菌薬
セフェム系抗菌薬
カルバペネム系抗菌薬
ぺネム系抗菌薬
モノバクタム系抗菌薬
アミノグリコシド系抗菌薬
ポリペプチド系抗菌薬
グリコペプチド系抗菌薬
オキサゾリジノン系抗菌薬
ストレプトグラミン系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬
リンコマイシン系抗菌薬
テトラサイクリン系抗菌薬
ST 合剤
キノロン系抗菌薬
15感染症検査
概要
発熱の知識
❑一般検査
白血球数
C反応蛋白(CRP)
赤血球沈降速度
❑微生物検査
グラム染色
その他の染色
血液培養
喀痰培養
尿検査
便検査
脳脊髄液検査
遺伝子検査
抗原・抗体検査
補助検査
・参考文献
・略号一覧
・INDEX
内容見本
読者の皆さまに
皆さま,お疲れさまでございます。感染防止対策を担当される皆さまのために,リーダムハウスとの協力の下,ここに感染防止対策のための “アンチョコ” を御用意いたしました。
たしかに “アンチョコ” の語源は “安直” であるともいわれています。本来であれば専門的知識というのは,多大な労力と時間を消費して,魂魄を研ぎ万巻の文字を通して血肉とするべく身に付けるものでありますが,そんな硬いことばかりも言っておられますまい。だって人間だもの。安直な “アンチョコ” は便利ですもの。それに,”忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ” なんていうセリフは古いドラマの中のことでありまして,日常は,忘れちゃった,出てこない,なんですよね,人間だもの。だからといって,忘れちゃった,ではすまされない状況も一方にあるわけです。
ここでひとつ衝撃の事実を申し上げますと,私が肌身離さず持ち歩いているノートパソコン,実はあれこそが私の本体でありまして,皆さんに私として認識していただいているこの肉体は駆動部分に過ぎないかの如きになっておるのです。
皆さんにも必要な情報をいつでも取り出せる持ち歩き可能な外付け記憶装置が必要ではありませんか。
この本の狙いはそこにあります。本書が皆さまの便利で頼れる “アンチョコ” になれば幸甚至極にございます。
2016年2月
森澤雄司
自治医科大学附属病院・感染制御部長,准教授
感染症科(兼任)科長,総合診療内科(兼任)副科長
栃木地域感染制御コンソーティアム TRIC’K’ 代表世話人