感染対策のレシピ 第2版 ●50 メニューの対策レシピで 5つ星の感染対策 を! 著 者:矢野邦夫(浜松医療センター 副院長・感染症内科長・衛生管理室長) |
![]() |
目次
Chapter 1 感染予防策
Menu 01 手指衛生
Menu 02 個人防護具
Menu 03 標準予防策
Menu 04 接触予防策
Menu 05 飛沫予防策
Menu 06 空気予防策
Menu 07 咳エチケット
Menu 08 洗浄・消毒・滅菌
Menu 09 環境整備
Menu 10 サーベイランス
Menu 11 院内ラウンド
Chapter 2 医療と感染
Menu 12 カテーテル由来血流感染
Menu 13 カテーテル関連尿路感染
Menu 14 手術部位感染
Menu 15 人工呼吸器関連肺炎
Menu 16 胃瘻・経腸栄養と感染
Menu 17 吸引カテーテルと感染
Menu 18 ネブライザーと感染
Menu 19 加湿器と感染
Menu 20 内視鏡と感染
Menu 21 針刺しと感染
Menu 22 透析室と感染
Chapter 3 感染対策で重要な病原微生物
Menu 23 MRSA
Menu 24 多剤耐性菌
Menu 25 クロストリジウム・ディフィシル
Menu 26 結核菌
Menu 27 百日咳菌
Menu 28 インフルエンザウイルス
Menu 29 ノロウイルス
Menu 30 HBV
Menu 31 HCV
Menu 32 HIV
Menu 33 アデノウイルス
Menu 34 水痘‐帯状疱疹ウイルス
Menu 35 疥癬虫
Menu 36 アスペルギルス属
Chapter 4 抗菌薬と微生物検査
Menu 37 抗菌薬の種類と特徴
Menu 38 抗菌薬の感受性と耐性
Menu 39 抗菌薬の適正使用
Menu 40 グラム染色と培養
Chapter 5 ワクチン
Menu 41 インフルエンザワクチン
Menu 42 破傷風トキソイド
Menu 43 麻疹・風疹・水痘・ムンプスのワクチン
Menu 44 HBVワクチン
Menu 45 肺炎球菌ワクチン
Chapter 6 その他
Menu 46 感染症疫学
Menu 47 身体障害者補助犬
Menu 48 院内講習会
Menu 49 就業制限
Menu 50 感染症法
付録:感染症と病態に必要な予防策の様式と期間
内容見本
第2版の序
本書「感染対策のレシピ」の初版が刊行されてから4年が経過しました。この間,感染症を取り巻く世界には新たな動きがみられました。2014 年には「エボラ出血熱」がアフリカを中心に大流行し,多くの命を奪ったことは記憶に新しいと思います。また,市中では蚊を媒介として感染する「デング熱」の流行が日本国内でも大きな問題となりました。
一方,医療機関に目を向けると,多剤耐性菌の増加により,抗菌薬による治療が極めて困難となる状況が医療現場の大きな問題となっています。こうした問題に対して米国CDC は,抗菌薬の適正使用を支援する「抗菌薬スチュワードシップ」を強化しています。また2015年には,WHO が「薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プラン」を採択し,日本も2016 年から4年間の「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を開始しました。
この他の動きとして,抗HIV 薬の進歩によりHIV 曝露後の予防内服のレジメが変更されました。医療従事者の麻疹・風疹・水痘・ムンプスへの対応では,抗体価よりも2 回のワクチン接種歴が最近は重要視されています。また,インフルエンザワクチンについても重症卵アレルギーの人への接種が可能となっています。
こうした新しい感染対策の情報を取り入れながら,さらに初版刊行時にはなかった内容の充実をはかる必要性を強く感じ,この度,第2版として刊行することにしました。
第2版では,初版の内容のアップデートはもちろんのこと,項目も37 メニューから50 メニューへと大幅に増やし,ボリュームアップしました。抗菌薬については新たに章を設け,詳しく解説しています。また,全体の構成も,より学習しやすいように再編しました。ページスタイルは初版を踏襲し,個々の感染対策を一つのレシピとして「用語解説」「対策に必要なモノ・コト」「最小限で成果を生むポイント」「実施手順」「CDC ガイドラインのエッセンス」「補足解説」の順でまとめていますので,どのテーマも同じフォーマットで読み進むことができます。
本書第2版に記したレシピが,読者の皆さんの施設で5つ星の感染対策の一助になれば幸いです。
2017年1月吉日
浜松医療センター 矢野邦夫